筋力トレの基礎知識②角度特性と速度特性

筋力トレーニングは目的に応じてそのプログラムデザインが変わります。
下記では各目的に沿った、具体的な方法について取り上げました。

筋力トレーニングの基礎知識

ここで紹介したように、目的に応じたトレーニングの設定として主に負荷(重量)、量(回数)、休憩時間がありますが、それ以外にも筋力トレーニングを実施する上で知っておくべき基礎知識があります。

それが「トレーニング時の角度」「トレーニング速度」の特性です。

目次

  1. トレーニングの角度特性とは
  2. スクワットのトレーニングで
  3. トレーニングの速度特性とは

トレーニングの角度特性とは、結論から言えば、動かした角度(曲げた角度)での筋力は良く向上するが、動かしていない角度(曲げていない角度)での筋力はあまり向上しないということです。

関節角度とトレーニング

図Aを見てください。これはヒジを曲げるアームカールのトレーニングをどの角度で行ったかによって、それぞれの角度での筋力増加に差が出てしまったという実験結果を示しています。
つまり、指摘角度までしっかりと動かしてトレーニングをすれば、その場所での筋力は向上するということです。

例えば、スクワットのトレーニングの際に「太ももが地面と平行になるまで曲げるように」などと指導されることがあると思います。
そこまでヒザを曲げることで太ももにより大きな負荷が加えることができ、捕球姿勢のような低い姿勢での筋力の向上が期待できるのです。

ただし、野球であればポジションによってヒザがどこまで曲るのかを想定した上でトレーニングすることも、トレーニング実施するための一つの考え方になります。

「フィールディング①内野手の捕球姿勢について〜その1」

基本的なトレーニングフォームでのトレーニングに加えて、自身の野球動作(打つ動作、投げる動作、捕球動作、走る動作)を踏まえて上で、上半身、下半身、体幹のすべてにおいてどこまで動かすべきかを考えながらトレーニングを実施してみてください。

【高校野球】球速アップ&障害予防に繋がるステップ膝動作~チェック方法とトレーニング~

トレーニングの速度特性とは、結論から言えば、トレーニング速度に応じた速度の筋力が向上するということです。逆に、トレーニング速度とは異なった速度での筋力向上はあまりしないとも言えます。

トレーニング速度

図Bを見てください。低速度でトレーニングをした場合には、低速度での筋力増加率が高いのに対して、高速度での筋力増加はあまり見られません。一方、高速度でのトレーニングをした場合には、高速度での筋力が最も向上しているのに対して、低速度の筋力向上はほぼ見られません。

つまり、常にゆっくりとした低速度でのトレーニングだけをしていたら、スピーディーな動きに対応した筋力の向上は起こりにくいということになります。

この記事の作成者


笠原政志笠原政志
Masashi Kasahara

国際武道大学体育学部・大学院 准教授
博士(体育学)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー
NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト
日本トレーニング指導者協会認定上級トレーニング指導士

千葉県習志野市出身。スポーツ選手の傷害予防と競技力向上に関するコンディショニングを科学的に捉えたアプローチを実践し、現場と研究の橋渡しの役割を担っている。特に今まで経験値による指導が多かった野球選手のコンディショニングについてを、客観的に示した上でのアプローチ方法について研究したものを現場に提供している。


関連記事

  1. 股関節姿勢 (4)

    【高校野球】球速アップの秘訣!股関節内転筋の評価とトレーニング

  2. 身体組成

    【指導者必見】高校野球選手の目標体重は?体組成から考える目標体重

  3. 股関節

    【高校野球~】障害予防にも球速アップにも重要な“股関節”の話

  4. 高校・大学・プロ野球/股関節の柔軟性のチェック(ガニ股)ができるか

    ピッチングのカギは股関節!股関節の柔軟性をチェックしよう

  5. 少年野球/片足立ち3秒間できるか

    バッティングにもピッチングにも必要なバランスをチェックしよう

  6. 股関節内旋

    【高校野球~】投球障害予防!下半身をチェックしよう