筋力トレの基礎知識③瞬時発揮筋力

下記に続いて、今回は、筋力を実際の野球動作につなげるために大切な「瞬時発揮筋力(力の立ち上がり)」について紹介します。

筋力トレーニングの基礎知識

筋力トレの基礎知識②角度特性と速度特性

目次

  1. 瞬時発揮筋力
  2. 瞬時に発揮するためのトレーニングが大切
  3. 瞬時発揮筋力はいつ発揮されるのか
  4. トレーニングによって瞬時発揮筋力が改善されるのかについての実験
  5. 瞬時発揮筋力を高めるトレーニング

主な野球動作は「投げる」「打つ」といった回旋動作であるため、その動作を意識したトレーニングがよく実践されています。
しかし、野球における「投げる」「打つ」といった動作は一瞬のものであるため、よりスピードが求められます。

したがって、ただ野球動作を意識したトレーニングをすればよいわけではなく、同時に、よりスピードの中でも瞬時発揮筋力を意識したトレーニングを実施することも大切になります。
せっかくオフ期にフィジカルを鍛え上げたとしても、野球の素早い動作につなげられなければ意味がありません。

図Aを見てください。選手Aと選手Bの最大筋力は同じです。しかし、選手Aが最大筋力に到達する時間を選手Bに当てはめてみると、選手Aの半分の筋力しか発揮していないことが分かります。つまり、選手Bは力があっても瞬時に出し切れていないということです。瞬時発揮筋力

選手を見ていて“筋力があるにもかかわらず、うまく発揮できていない”という印象を持ったことはないでしょうか。それが、瞬時に力を出せていない選手の特徴の一つです。
力を持つだけではなく、瞬時に発揮するかためのトレーニングが大切なのです。

瞬時発揮筋力はどのような場面で発揮されるのでしょうか。
メディシンボールサイドスロー時の太もも(後ろ足)と腹斜筋(捻った側)の筋活動を筋電図で調べると、ボールを飛ばす方向とは逆側に体を捻る、いわゆる「タメ」をつくる一瞬に、太ももと腹斜筋の筋活動が瞬時に高くなることが分かります。
つまり、体幹回旋時でのタメをつくる際に筋力は瞬時に発揮されていることとなるため、瞬時発揮筋力を意識することは重要であることが分かると思います。

ホームランを打つ!バッティング方法とトレーニング

[Lesson10] 背中の斜めの筋肉をバッティングに最大限に使う方法

トレーニングによって瞬時発揮筋力が改善されるのかについての実験があります。
重りを両手で頭上に持った姿勢から、足をサイドに踏み出すと同時に上体を捻りながら重りを腰元に下ろすという体幹回旋トレーニングを行い、トレーニング前後の太もも前側と腹斜筋の筋活動を調べました。体幹回旋筋力

図B左側はトレーニング導入前の筋電図を示しており、回旋動作の切り返し時にも下肢と体幹の筋活動はほとんど生じていません。
一方、右側のトレーニング導入後の筋電図を見ると、動作の切り返し時に筋活動が大きくなっています。
さらに、ただ筋活動が大きいだけでなく、それが瞬時に発揮されていることも分かります。

したがって、回旋動作トレーニング時に瞬時発揮を意識したトレーニングを行うことによって、実際の野球におけるバットスイングや投球動作につながるわけです。

では、瞬時発揮筋力を高めるためにはどのようなトレーニングをすればいいのでしょうか。

続きは下記をご覧ください↓↓

https://www.bbm-japan.com/baseballclinic/17332273/p2#content-paging-anchor-17332273

この記事の作成者


笠原政志笠原政志
Masashi Kasahara

国際武道大学体育学部・大学院 准教授
博士(体育学)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー
NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト
日本トレーニング指導者協会認定上級トレーニング指導士

千葉県習志野市出身。スポーツ選手の傷害予防と競技力向上に関するコンディショニングを科学的に捉えたアプローチを実践し、現場と研究の橋渡しの役割を担っている。特に今まで経験値による指導が多かった野球選手のコンディショニングについてを、客観的に示した上でのアプローチ方法について研究したものを現場に提供している。


関連記事

  1. インサイドアウト コック

    [Lesson5] スイング軌道をインサイドアウトにする手首の使い方

  2. 肩甲骨トレーニング

    【高校野球】投球障害に対する肩甲骨周囲筋のトレーニング方法

  3. 高校・大学・プロ野球/立位体前屈で床に手が届くか

    立位体前屈で床に手が届くか

  4. パワー

    球速アップと障害予防に関して ③ 【パワー】

  5. 少年野球/太ももの前の柔軟性があるか

    トレーニング前後で確認したい、太ももの前の柔軟性

  6. 図A 覚醒状態

    試合に向けた脳のウオーミングアップ